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コラボレーションアルバム「Edge of the world」

こちらで御紹介する作品は、イラストレーター長浦将也氏とのコラボレーションから生まれたアルバム「Edge of the world」です。「最果て」という言葉を主題に、お互いがお互いの鍵となる作品ー長浦氏が「絵」、私、天沼孝行が「曲」ーを制作。その作品を交換した後、それぞれの作品から得られるイマジネーションを創造するという手法を用いて7つ目の風景音楽アルバムを作りました。
ご覧の皆さんは「最果て」という言葉にどんなイメージを抱かれるでしょうか。
本アルバムでは、少し切ない物語を全編オーケストラで紡いでいきます。以下、試聴を交えながら制作過程やアルバムについてのお話をさせて頂きますので、御用とお急ぎでない方は御試聴、御一読頂ければ幸いです。

見る世界と聴く世界

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2010年10月9日、雨の日。東京は新宿でイラストレーターの長浦氏と今回の企画打ち合わせをしました。氏とは数年前、大崎で開かれたコズミック・フュージョンというグループ展で偶然知り合ったのですが、その後も縁があり、今回の運びとなったのです。
さて、絵と音楽のコラボレーション。まず一方通行を避けたいという前提がありました。どちらかの創作に後から絵、或は音を付けるというのは対等でないですし、先に制作した方のイメージにどうしても引っ張られてしまうので、相互に作用しているとは言いがたいように思うのです。
そこで考えたのが「共通の主題を設ける」という方法でした。
ある主題に沿って絵、音楽をそれぞれ作り、交換。交換した作品からのイメージで2つ目以降を制作してゆく。
単純な方法ですが、一方通行を避けつつ相互に作用し、且つ自由に描ける部分もある良い方法ではないでしょうか。
主題についてあれこれと意見を出し合うこと約3時間。テーマはシンプルに「最果て」と決まり、雨脚の強くなる中、別れたのでした。

タダでは起きない

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昨年、あるオーケストラ楽団に声をかけられ、ファイアーエムブレムというゲーム作品の音楽を編曲したことがありました。オーケストラ作品は好きであるものの、実際の演奏者のために譜面など書いたことが無く、おまけに編曲を任された曲も知らない上に譜面もないので全て耳で採譜。寒い時期であることも重なり凍傷(シモヤケ)で鉛筆も握れない中書き上げた譜面は、楽団自体の分解で演奏会自体が流れてしまい、お蔵入りとなったのでした。団長の「解散します」という言葉を聞いた時、映画「おくりびと」みたいだなあと思ったものです。
ただ、コンサートを実現できなかったのはもちろん残念でしたが、関わらせて頂いた時間は大変有意義でした。楽器についての知識といった、演奏者にとって当たり前のことを知ることができたり、リハーサルを見学して指揮者がどうやって音楽を作っていくのかを知ることができたり…その他、とても多くのことを勉強できました。何より、毎回本物の楽器音を聴けるというのが大きかったように思います。
「いつかここでの経験を形にしたい」
…こんな思いがあって、今回全編オーケストラで奏でています。

最果てを紡ぐ

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収録曲は全部で11。「最果て」を紡ぐにあたり、物語音楽としての組曲を作ろうと考えました。2002年に似たコンセプトの2ndアルバム「樹霊古典」という作品を作ったのですが、あの時よりもそれぞれの楽曲毎に楽しめつつ、もっと1曲1曲が結びつき、1つの流れを感じる作品を作れないものかと練ったわけです。
幸いなことに、これまでドラマや映画、企業PVなど映像音楽についていくらか経験を積むことができたので、そこで培った発想も取り入れつつ、楽曲のあちらこちらに仕掛けを散りばめ、各曲を仕上げました。
アイデアについて、曲の最後と次の曲の最初が和声的に関係していたり、フレーズが反復しつつ変化していく様子などは一例ですが、特に顕著なのが、8曲目の「Life whispers」。
拍子ー生きるペースーの異なるフレーズが混じり、解け合いながら世界を作ってゆく。やがて集まったそれらをトライアングルが再び拡散させ、9曲目の「Fate」をブリッジし、10曲目へと流れていきます。
こんな風に語られてゆく「最果て」に映るものは一体何でしょう?
この他にも色々なところに意味を持たせつつ音楽として構成していますので、曲としてはもちろん、色々な想像をしてみるのも違った楽しみ方かもしれません。

音を見るということ

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1曲目、2曲目は「最果て」という言葉から私自身のイメージでアプローチした曲ですが、3曲目以降の楽曲は長浦氏の絵に触発されて制作したものです。
正直に言うと、交換時に頂いた絵は自分が想像していたものと大きく違いました。1曲目、2曲目を制作しながらアルバムに収録する曲の流れを大まかに考えていたので、こちらが考えていたアイデアも一度リセットすることにしたのですが、その際、残念だとか仕事でリテイクになった時に感じるような気持ちには全くなりませんでした。思わぬところでコラボレーションの醍醐味を感じることになったわけです。
一人で創作していると知らない間に一人の枠に収まったものへと向かいます。もちろん、それも個性を結晶化するという評価ができますし、創作をする上でとても大切なことなのですが、一方で世界を広げる可能性も追求したいのです。
今回のコラボレーションは、そういった創作に対する姿勢について考えさせられ、次のステップへ進む良い機会となりました。自分の知らない世界に触れるというのは、刺激的でいつも色々なことを感じさせてくれます。
氏のサイトでは、私の音楽に触発されて描かれた作品も紹介されているので、右、「Information」のリンクからご覧になってみてください。

終わりに

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アルバムを作り終えた時、毎回、人に恵まれていることを強く実感します。
今回コラボレーションさせて頂いた長浦氏はもちろん、出会うきっかけを作ってくれた磯野宏夫先生。奏者を相手にオーケストラ編曲という機会を与えてくれた楽団の方々。この内、どれか一つが欠けても今作は成しえませんでした。本当にありがとうございます。
そして、本稿をお読みくださったあなた、御試聴くださったあなたに、偽らない感謝の言葉を。
私の音楽や長浦氏の絵が、みんなの何かに響いて明日を照らす光となりますように。

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